2025.07.18 | お知らせ, ブログ, 日常
圧倒的な走行性能、デザイン、そして哲学――。ポルシェというブランドを支える数々の要素の中でも、「ブレーキ」は“走る・曲がる・止まる”という走行性能の三本柱を完成させる、欠かすことのできない存在です。
実はそのブレーキシステムの一部に、日本が世界に誇るメーカー「曙ブレーキ工業(AKEBONO BRAKE INDUSTRY CO., LTD.)」が深く関わっていることをご存じでしょうか。
曙ブレーキは、マクラーレンや新幹線、そして世界中の自動車メーカーにブレーキシステムを供給する日本の名門サプライヤーです。高い制動性能と信頼性を武器に、「止める」という安全性の根幹を担い続けています。
そんな曙ブレーキが、ポルシェにも採用されているという事実は、まさに“技術の信頼”の証です。
たとえばカイエン。車重とスポーツカー並みの走行性能を両立するために、10ポッドキャリパーが搭載されているモデルがあります。ピストンを10個備えるこのキャリパーは、ブレーキパッド全体に均一な圧力をかけ、強大な制動力をスムーズに発揮。
このキャリパーの供給を曙ブレーキが担っているのです。
ポルシェのオプション装備として注目されているのが、PCCB(ポルシェ・セラミック・コンポジット・ブレーキ)と、より実用的な選択肢として登場したPSCB(ポルシェ・サーフェス・コーテッド・ブレーキ)です。
PCCBは炭素繊維強化セラミック(カーボンセラミック)を採用した超高性能ブレーキシステム。レーシング技術を応用し、以下のような特長を持っています:
鉄製ローターに比べて約50%の軽量化
高温域でも安定した制動力を発揮(耐フェード性)
非常に高い耐摩耗性により長寿命(通常の10万km超)
ダストや錆の発生を抑え、ホイールもクリーンに保つ
その軽さはバネ下重量の大幅な削減につながり、加速・旋回・制動のすべてに貢献します。まさにサーキットレベルのパフォーマンスを日常に取り入れた逸品です。
PSCBは鋳鉄製のローター表面にタングステンカーバイドをコーティングすることで、以下のような優れた特性を発揮します。
ブレーキダストを90%削減
耐久性30%向上
高温域でもフェードしにくい安定性
PCCBよりコストを抑えつつ高性能を実現
つまり、PCCBが頂点を極めるハイエンド向けの技術だとすれば、PSCBは日常性能と経済性を高次元で両立した新しい選択肢と言えるでしょう。
そしてこの2つのブレーキシステムには、いずれも日本が誇る曙ブレーキの技術が深く関わっているのです。
私たちAUTO CAFEは、単なる輸入車販売店ではありません。ポルシェというブランドに魅了され、その設計思想、歴史、技術の奥深さを深掘りしたいという想いから、専門店としての道を選びました。構造やカラーに込められた意図を深く知ろうと、メカニックもセールスも熱意をもって向き合い続けています。
だからこそ、ポルシェの“止める技術”の中に、日本が生んだ曙ブレーキの魂が宿っていることに、深い共感と誇りを感じるのです。
ポルシェの魅力は、単に“速く走る”ことにとどまりません。ブレーキのような制動性能も含めた“走る・曲がる・止まる”すべてが緻密に設計されているからこそ、その奥深さが際立つのです。
曙ブレーキ様のような日本企業が、世界のポルシェに選ばれているという事実は、私たち日本人の“ものづくり精神”の誇りです。
AUTO CAFEはこれからも、そんな目に見えない技術と精神にまで想いを巡らせながら、ポルシェという特別な存在をお客様に届けてまいります。